2026年07月25日
バイク紹介

ホンダ・HAWK 11(ホーク イレブン)を語る上で、スペックや馬力など野暮な話だ。 このバイクの本質は、「どれだけ眺めていても飽きない、異様なまでの造形への執着」にある。
一見するとクラシカルなロケットカウルスタイル。だが細部を紐解いていくと、そこには現代のバイクデザインの常識をあえて無視した、デザイナーの偏執的なこだわりが満載されている。
今回は、ホーク11の「デザイン」だけに絞って、そのマニアックな萌えポイントを分解してみたい。

現代の量産車におけるカウル類は、99%が「ABS樹脂」などの金型成型で作られている。プレスラインがシャープに出る反面、複雑な湾曲や深みのある曲面を作るには限界がある。
しかし、ホーク11のロケットカウルはあえて「FRP(強化プラスチック)」を採用した。
職人の手仕事が介在するFRPだからこそ、スクリーンからカウル、そしてサイドへとつながるラインに継ぎ目のない「滑らかなぬめり感」が生まれている。 光の当たり方によってグラデーションのように表情を変えるこの陰影は、効率優先の金型成型では絶対に表現できない「アートの領域」だ。
ロケットカウル装着車において、常にデザイナーを悩ませるのが「ミラーの配置」だ。 カウルの上部からステーを生やすと、せっかくの美しいシルエットが角(ツノ)が生えたように台無しになってしまう。
ホーク11が出した回答は、「カウル下部からのアンダーマウント」。
ステーをカウル底面から下向きに伸ばし、グリップエンドのさらに下側に鏡面を配置する。 このレイアウトにより、フロントからリアへと流れるロケットカウルの美しく低いトップラインを1ミリも邪魔することなく死守しているのだ。視認性という実用性をギリギリまで削ぎ落としてでも「スタイリング」を優先した、狂気すら感じる割り切りである。
往年のカフェレーサーへのリスペクトを示しつつ、単なる懐古主義に終わっていないのがフレームとカウルの「位置関係」だ。
カウル後端と燃料タンクの間に、あえてわずかな「空間」を残すことで、クラシカルな後付けカウル感を演出。 さらに、カウル下端からタンク底面、そしてシートレールへと一直線に伸びる「水平基調の骨格ライン」が美しく通っている。
これにより、フロントにボリュームを集中させつつも、サイドシルエット全体としては引き締まった、現代的でスポーティな緊張感が生み出されている。

「タンク容量14L」は実用面では賛否両論を呼んだが、デザインの観点からは大正解と言わざるを得ない。
もしここに18Lや20Lの巨大なタンクを載せていたら、せっかくの繊細なロケットカウルがタンクの存在感に負けて「頭でっかち」になっていたはずだ。
ギュッと細く絞り込まれたタンクは、跨った時の膝まわりのフィット感を生むと同時に、上から車体を見下ろした際の「キュッと締まった美しいウエストライン」を描き出す。 フロントのボリューム感と、車体中央のスリムさの対比(ギャップ)こそが、ホーク11の持つ艶めかしさの正体だ。
無駄な張り出しを捨て、積載性や航続距離という日常の便利さを削ぎ落とした結果、ホーク11には「走るためだけの美しいシルエット」だけが残った。
流行りのネオクラシックのように「誰もが懐かしいと思える形」を目指したのではなく、「デザイナーが描いた理想の1枚のスケッチを、そのまま立体化した」かのようなストイックさ。
ホーク11のデザインは、眺める角度を変えるたびに新しい発見を与えてくれる、まさに「走るFRP彫刻」なのだ。
〒〒655-0852
兵庫県神戸市垂水区名谷町室山1400-135
定休日:火曜日

※併設するイエローハットおよび2りんかんとは営業時間・定休日は異なりますのでご注意ください
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