バイクのタイプにはストリート、スーパースポーツ、スクランブラー、ツアラーなどさまざまなタイプが存在しますが、中でもアメリカンとクルーザーは根強い人気を誇ります。 そこで、アメリカンとクルーザーの違いや特徴を解説し、排気量別でおすすめの車両紹介やアメリカンバイクブームの背景にも迫ります。
「アメリカン」と「クルーザー」の違いについて、疑問に感じたことはないでしょうか。実は、日本ではこの2つの呼び方に明確な線引きがなく、しばしば同じ意味で使われています。まずは、アメリカンとクルーザーの違いについて詳しく解説していきます。
バイク業界では、アメリカンとクルーザーという言葉はしばしば混同されますが、日本では実質的に同義で使われており、明確な区別はありません。
クルーザーはバイクのカテゴリーを表す総称で、一般的に低いシート高、前に投げ出した足のポジション、リラックスした乗車姿勢が特徴のバイクです。つまり、ハーレーダビッドソンやホンダのレブルなどは、クルーザーに分類されます。
一方で、アメリカンという言葉は、アメリカ製クルーザーバイクやそれに似せた日本製バイクを指す俗称です。これは、日本国内に輸入されたハーレーを「アメリカンバイク」と呼び始めたのがきっかけで、同様の見た目のバイク全般を指すようになりました。
「ジャメリカン」という言葉をご存知でしょうか。これは「ジャパニーズ」と「アメリカン」を組み合わせた造語で、日本国内でアメリカンスタイルを模して作られたクルーザーバイクを指します。
代表的な車種としては、ホンダのスティードやシャドウ、ヤマハのドラッグスター、カワサキのバルカンなどが挙げられます。これらのバイクは、アメリカ製クルーザーに憧れる日本のライダーの要望に応えて誕生しました。
ジャメリカンは、その独自のスタイリングに加え、日本車ならではの信頼性や扱いやすさを両立している点が魅力です。
アメリカンバイクの最大の特徴は、重厚感のあるロー&ロングなフォルムと、心地よい鼓動感を生み出すエンジンです。長く低い車体は直進安定性に優れ、ゆったりとしたクルージングを楽しむために設計されています。前方に大きく伸びたフロントフォークや幅広いハンドルバー、前に投げ出すように配置されたステップ位置など、独特のスタイルが確立されています。
アメリカンバイクは速さを追求するのではなく、乗る人の個性やライフスタイルを表現するための存在です。多くのオーナーがカスタムを楽しむのも大きな特徴でしょう。シートやマフラー、ハンドルなどを自分好みにアレンジし、唯一無二の一台に仕上げる文化が深く根付いています。この自由度の高さこそが、アメリカンバイクの大きな魅力といえます。
日本において、アメリカンバイクは単なる乗り物以上の存在として、多くのライダーを魅了してきました。特に1990年代には社会現象ともいえる一大ブームを巻き起こし、バイク文化に大きな足跡を残しました。
このブームはどのようにして到来し、何がその火付け役となったのでしょうか。ここでは、日本におけるアメリカンバイクブームの足跡を辿ります。
アメリカンバイクブームの火付け役として有名なバイクが、ホンダの「スティード」です。1988年に登場したスティードは、それまで日本国内に存在しなかった「ロー&ロング」なスタイルを持ち、アメリカンバイクの象徴ともいえるシルエットを実現したバイクです。
250ccや400ccといった扱いやすい排気量で、見た目のインパクトも相まって一気に人気が広がりました。
ヤマハのドラッグスターやホンダのレブルといった競合車種が続々と登場したこともあり、1990年代に日本中でアメリカンスタイルのバイクブームが巻き起こったのです。とくに当時の若者たちにとって、スティードは「いつかはハーレーに乗りたい」という憧れの入り口となり、多くのライダーがその魅力に引き込まれていきました。
アメリカンバイクブームの背景には、映画「イージーライダー」の存在も欠かせません。1969年にアメリカで公開され、日本では1970年に上映されたこの映画は、自由を求めてバイクで旅する若者たちの物語です。
映画内で使われたカスタムハーレー「キャプテン・アメリカ号」の象徴的なビジュアルは、日本のライダーに強烈なインパクトを与えました。
この映画の影響で、ハーレーダビッドソンをはじめとしたアメリカンバイクへの憧れが急速に高まり、日本でのアメリカンブームを一層加速させたといえます。
ハーレーダビッドソンが日本に初めて上陸したのは1913年のことで、伊藤博文の秘書であった伊東巳代治の四男が持ち込んだと言われています。
そして、ハーレーダビッドソンが日本国内で販売を開始したのは、1927年のことです。初のハーレーディーラーが東京の京橋でオープンし、その後は輸入に依存せずに国内での生産も始まりました。
世界恐慌や第二次世界大戦といった時代の波に翻弄されながらも、ハハーレーの正規輸入品が日本国内の一般市場に広く出回るようになったのは1960年頃と言われています。その後はブームを巻き起こし、1989年にはハーレーの完全子会社として日本法人が設立されました。
こうした歴史的背景の中で、ハーレーはアメリカンバイクの代名詞として、多くのライダーに支持され続けています。
アメリカンバイクと一口に言っても、排気量によってその特性や楽しみ方は大きく異なります。ここでは、初めて乗る方から本格的なツーリングを楽しみたい方まで、幅広いニーズに応えられるよう、250ccと400ccのアメリカンバイクの特徴を紹介します。
250ccクラスのアメリカンバイクは、初心者や女性ライダーをはじめ、街乗りを重視するユーザーから高い人気を集めています。車体は比較的軽量で取り回しがしやすく、足つき性にも優れているため、バイクデビューにも最適な排気量帯です。また、車検が不要という点も維持費を抑えたいライダーには大きなメリットです。
代表的なモデルとしては、ホンダ「レブル250」が圧倒的な人気を誇ります。クラシックなアメリカンスタイルを保ちながらも、どこかモダンなデザインを取り入れており、幅広い世代に支持されています。他にも、過去にはカワサキ「エリミネーター250」やスズキ「マローダー250」といったモデルも登場しており、いずれも低回転からのトルク感とリラックスしたポジションが特徴です。
現在新車で購入できる250ccアメリカンは選択肢が限られていますが、中古市場では状態の良い車両が数多く流通しており、コストパフォーマンスに優れた一台を見つけやすい環境が整っています。街乗りや通勤をメインにしつつ、アメリカンのスタイルを楽しみたい方には250ccがぴったりです。
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400ccクラスのアメリカンバイクは、中型バイクの中でも大きく感じるものの、普通自動二輪免許で乗れて車種のバリエーションも豊富です。400ccクラスになると車体の安定感が増し、ツーリングでも余裕を持った走行が可能になります。エンジンの鼓動感や、より本格的なアメリカンらしい乗り味を味わえるのが最大の魅力です。
代表車種としては、ヤマハ「ドラッグスター400」が長年多くのライダーに愛されてきました。ロー&ロングのシルエットと空冷Vツインエンジンが織りなす鼓動感は、国産アメリカンの中でも随一の存在感を放っています。また、ホンダ「スティード400」や、スズキ「イントルーダークラシック400」なども定番モデルとして人気を博してきました。
現在は新車での販売が少なくなっているものの、中古市場にはカスタムされた個体やコンディションのよいバイクが豊富にあります。見た目と走りのバランスを両立させたい方、本格的なアメリカンスタイルを楽しみたいライダーには、400ccクラスもオススメのカテゴリーです。
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アメリカンバイクは、ロー&ロングなフォルムと鼓動感のあるエンジンが特徴で、速さよりも個性やライフスタイルを表現するための存在です。深く根付いたカスタム文化による自由度の高さも大きな魅力といえます。
排気量によって異なる魅力を持つアメリカンバイクは、初心者からベテランまで、多様なライダーのニーズに応える奥深い世界が広がっています。
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