【CBR1000RR/CBR1000RR SPの特徴】
前身のCBR954RRのフルモデルチェンジとして、2004年に姿を変えたのが、CBR1000RRです。海外では、変わらずファイヤーブレードの新モデルとして販売されました。
当時のMotoGPマシン「RC211V」のノウハウを惜しみなく投入し、リッタークラスのスーパースポーツフラッグシップモデルとして、レースファンを始め、バイクファンから愛されてきた一台です。
■「RacingDNAのきらめく結晶」
開発時点でMotoGPマシン「RC211V」の開発に携わったメンバーが集結しました。
エンジン・フレームから細部まで、RC211Vのノウハウを詰め込んだ完全新設計のマシンとなっていました。
まさにホンダのレースシーンの歴史の結晶ともいえるマシンとして、登場しました。
■マイナーチェンジを重ね、洗練されたマシンへ
初期型のSC57型で2度、2代目のSC59型で3度、3代目のSC77型で1度マイナーチェンジを行い、その時々の最新鋭の装備が投入され続けました。
SC77型の2019年には、CBR1000RRの開発時の「RC211V」から「RC213V」へモデルチェンジしていた、MotoGPワークスマシンの制御プログラムをベースにするなど、レースマシンからのフィードバックもしっかりと受け取っていました。
■市販車ベースのSBKでも躍動
2017年のフルモデルチェンジの際に、SBK(スーパーバイク世界選手権)のレギュレーションに合わせた、電子制御系の採用もしており、世界最高峰のレースシーンMotoGPマシンをベースとした、市販車マシンが一般市場はもちろん、最高峰のレースシーンSBKで躍動するという流れとなりました。
■CBR1000RRのモデルチェンジ年表
SC57型(初期型)
2004年の発売翌年に、カラーチェンジ及びハザードランプの装備を行うマイナーチェンジを行いました。この2005年には、Special Editionとして、MotoGPマシンのレプソルカラーを設定しました。
2006年にもマイナーチェンジを行い、操作性の向上とマスの集中化を目的とした、細部の見直しが行われました。結果、4kgの軽量化に成功しました。
2007年にはカラーチェンジや複数の限定カラーを設定したSpecial Editionの継続をしました。
SC59型(2代目)
2008年に「オール・ザ・ベスト・イン・スパースポーツ」というコンセプトで、フルモデルチェンジを行いました。このモデルチェンジでも、MotoGPマシンのフィードバックを受け、再開発を行うとともに、平成19年排ガス規制もクリアしました。このモデルチェンジから、燃料種類がレギュラーガソリンからハイオクガソリンへと変更となりました。
2010年にSC59型として1度目のマイナーチェンジを行い、慣性マスを約7%向上させ、クランクシャフトの剛性も高めました。
2012年には2度目のマイナーチェンジ。足回りの見直しを行い、操作性の向上を図りました。前後サスペンションの構造及び、前後ホイールの形状も変更されました。
2014年に3度目のマイナーチェンジを行い、エンジンの吸気ポートの形状を変更。また、ハンドルポジションの変更、ステップ位置を10mm後退されたことで、よりスポーティなライディングポジションとなりました。
2014年のMotoGPでレプソルホンダが3部門でタイトルを獲得した記念として、翌2015年に、受注期間限定でChampion Specialを販売しました。バリエーションは、当時レプソルホンダ所属のマルク・マルケス選手とダニ・ペドロサ選手のゼッケンナンバーのステッカーが同梱していました。
SC77型(3代目)
2017年にSC77型となる、フルモデルチェンジを行い、国内仕様でもメーカー自主規制が撤廃されたおかげで最高出力192psとなりました。
また、SBKのレギュレーションに合わせて、電子スロットル等も装備されました。
このモデルチェンジでは、従来から設定のあったオーリンズ製サスペンションやブレンボ製ブレーキキャリパーを装備した上級グレードのSPに加え、レーシングマシンへのカスタムを前提とし、マルケジーニ製ホイールの装備やピストン等の新専用設計をした、最上級グレードのSP2も発売されました。
SC77型は2019年にマイナーチェンジを行い、MotoGPマシンの「RC213V」からフィードバックを受け、制御プログラム等を開発。併せて、各電位制御系の設定も進化させました。
この2019年のマイナーチェンジを最後に、2020年のフルモデルチェンジでCBR1000RR-Rへと移行し、CBR1000RRとしては約15年の歴史に幕を閉じました。
【CBR1000RR/CBR1000RR SPの装備】
SC77型では、公道用マシンとしてもレースマシンとしても活躍することを求め、フルデジタルメーターを採用。このメーターはストリート・サーキット・メカニックと3種類の「表示モード」が設定されました。また走行モードにはウィリーコントロールも追加され、公道マシンだけではなく、レースマシンとしても十分すぎる装備を揃えました。
全灯火類にLEDの採用や、前後ホイールをY字5本スポークにして軽量化するなど、公道走行でも嬉しい装備が整いました。
【CBR1000RR/CBR1000RR SPのパワーユニット】
999cc水冷DOHC直列4気筒エンジンは、レースマシンからのフィードバックを受け、軽快でトルクフル、高い操作性を実現しました。また、軽量化を図ったうえで、最高出力192psを達成するなど、リッタークラススーパースポーツのフラッグシップモデル、最高のパワーユニットとなりました。
チタン製のマフラーを採用し、見た目から高級感を演出し、さらには軽量化にも成功しました。6速クロスミッションの採用や新設計のラジエーターの採用、アシストスリッパ―クラッチの採用等で全体的な軽量化に成功しました。
【CBR1000RR/CBR1000RR SPのシャシー】
シャシーでも軽量化を目指し、高剛性のアルミダイキャストフレームを採用。シートレールにもアルミダイキャストを採用し、大きく軽量化貢献しています。
ローリングシャシーでは、CBR1000RRは、対抗ピストン4ポッドキャリパーを、SPでは、ブレンボ製のモノブロックキャリパーを採用。高い剛性と高い制動力、そして軽量化も両立しました。
フロントフォークは路面追従性の高い倒立フォークを採用。テレスコピック式ビッグピストンとなっており、スムーズで減衰力の素早い立ち上がりが可能となりました。